アニメ「月がきれい」(脚本:柿原優子)

アニメ・マンガ レビュー

2017年4月から放送された、有限会社フィール制作の新作オリジナルアニメ。

また、作中に出るキャラクター名の敬称は略して書きますのであしからず。

イントロダクション

主人公「安曇小太郎(あずみこたろう)」は中学3年生の文芸部部長。小説家を目指して受験勉強そっちのけで純文学小説を執筆し、出版社に投稿している。

そんな彼には、密かに気になる存在が居た。クラスメイトで陸上部の短距離選手である「水野茜(みずのあかね)」だ。運動会の用具係などをキッカケにLINE交換をした2人は、徐々に距離を縮めて行くが・・・。

アニメ「月がきれい」の感想

この感想には1部ネタバレを含みます。作品の面白さを損なわないように配慮してはいるつもりですが、少しでもネタバレが嫌な方は、感想を読まないことをオススメします。加えて、視聴後にテンションが上りまくった状態で書いているので、少し暴走気味な上に私情が入り過ぎる文章になるかも知れませんが、ご容赦下さい。

周囲に恋心を知られたくない。2人は両思いとなり交際を初めますが、周囲に付き合っていることを知られることを恐れています。これには大いに共感しました。私は周囲に知られるのが怖くて臆病になるあまり、思いっきり後悔するハメになった経験があるからです・・・。私は中1の頃、初めて同じクラスの女子と両思いになりました。にもかかわらず、自分の気持を真っ直ぐに伝えることが出来ず、付き合えないまま離れ離れになってしまいました(相手の女子は、中学2年進級と同時に県外に引っ越してしまった・・・)。相手の女子とは良く話す間柄でしたが、その状態だけで周囲の干渉が多くて困ってました。ちょっとした出来事の内容がとにかくクラス中に筒抜けとなってしまうので、それが嫌で仕方がありませんでした。幸運なことに、相手からの「好き」という意志は分かっていたのですが・・・。例えば、その子と友達が主催する「クリスマス会に」こっそり誘われたが、直ぐに周囲に広まり「行くの?行かないの?プレゼントは?」と聞かれまくり、恥ずかしくて行けなかったり。また例えば、こっそりバレンタインチョコを貰ったが、次の日には全員に知れ渡り「どんなチョコ?味は美味しかった?お返しはするの?」とか根掘り葉掘り聞かれる、といった感じ。そんな事に怖気づかずに開き直っていれば良かったのに、自分のプライベートを詮索されるのが嫌で、相手にハッキリと「自分も好きだ」と伝えることができませんでした。本当に後悔しています。あの時の自分は本当にチキンでダメダメでした。そして何より、彼女に対して申し訳ない気持ちで一杯です・・・。えーーー、思いっきり勝手な自分語りをしてしまい、大変失礼しました。でも、自分の個人的な体験を晒してしまっても構わないと思う位に、この作品が心に響いたのは間違いありません

主人公の小太郎は勇気がある。初めの頃の2人の会話は、とてもぎこちない。そんな中でも、自分の「付き合いたい」という意志を伝えられた小太郎は凄いと思う。中学の頃の私には出来なかったことです。上の項目でも書きましたが、周囲に付き合うことを内緒にする気持ちも痛いほどよく分かります。また、「付き合うってどうする?」というのが分からずに困る2人が初々しくてとても良い。本当に素直に応援したくなるカップルです。

エンディングに流れるLINE文章とショートストーリー。エンディングではほぼ毎回、内容の異なるLINEのやり取りが流れます。この文面がほっこりする内容なので要注目です。また、エンディング後に短いショートストーリーが数本流れる場合があるのですが(おもに他のクラスメイトや担任が主役の話)、これがまたいい味を出しています。短い中に個々の個性がギュッと凝縮されていて面白いです。こういう細部にまで凝った作りに、作品への力の入り具合が現れていて好感が持てます。

小太郎と茜の不器用で真っ直ぐな恋物語に、観ているこっちも素直に応援したくなる良い作品だと思います。最後のオチもとても好きでした。本当に素敵な良作です。これなら、恋愛作品に興味がない人にも楽しめるのではないでしょうか? もし観てない人が居たら、是非ともオススメしたい作品です。

Amazon Prime Video 「月がきれい」

「月がきれい」Blu-ray Disc BOX(初回生産限定版)

コメント

タイトルとURLをコピーしました