私が定期的に読み返すマンガ「いつでも夢を(作:原秀則)」について。物語は完結済みで、全6巻です。また、作中に出るキャラクター名の敬称は略して書きますのであしからず。
作者の「原秀則」先生について
原秀則先生は、1981年に「さよなら三角」で小学館の「週刊少年サンデー」でデビューされた方です。私は1987年から連載が始まった「冬物語」で原先生を知りました(「冬物語」は1989年に実写映画化)。「冬物語」が面白かったので原秀則作品に興味を持ち、その後に「部屋においでよ」(「部屋においでよ」は1995年に日本と2002年に台湾でドラマ化)や「やったろうじゃん!!」「いつでも夢を」を購入して読みました。 恋愛やスポーツ関連のストーリーを描いた作品が多い作家さんです。
私は上記の4作品しか読んでいませんが、中でも「いつでも夢を」が1番、印象に残っていて、何年かに1度は読みたくなる作品となっています。
「いつでも夢を」の序盤ストーリーを紹介
主人公「多田野一郎」は、ごく普通の高校3年生です。マンガを描くのが趣味ですが、プロを目指すほどの自信は無く、友達にマンガを書いていることは秘密にしていました。しかしある日、友人の彼女で密かに好意を寄せている「如月みちる」に、彼女をヒロインにしたマンガを描いていたのがバレてしまいます。本人に見られて「もう終わりだ」と焦ったものの、彼女から予想外に褒められて、すっかり舞い上がった多田野は、受験勉強そっちのけでマンガを描くようになります。
周囲にもマンガを描いているのがバレた多田野。それがキッカケで、別クラスの女生徒でマンガを描いている「小島能理子」と知り合う。才能に恵まれた彼女は、順調にプロ漫画家へと駆け上がって行く。多田野は自信の才能に不安を感じながらもマンガを描き続け、プロの漫画家を目指して悪戦苦闘を繰り返すが・・・。
「いつでも夢を」の感想
この感想には1部ネタバレを含みます。作品の面白さを損なわないように配慮してはいるつもりですが、少しでもネタバレが嫌な方は、感想を読まないことをオススメします。
全6巻の作品ですが、序盤から中盤までは大きな盛り上がりは無く、プロのマンガを目指す人の下積み生活をコミカルに描いている感じがします。そんな日常の中、色々な人との出会いを通して、多田野は徐々に成長して行く。正直、この中盤までは平凡な作品という印象があります。
そんな静かな展開が、4巻最終話での「小島能理子」との再会を機に、大きく動き出す。大手週刊誌でトップクラスの人気連載を抱えて、順風満帆なマンガ家であるハズの彼女が抱える大きな苦悩。ここから、物語は一気に重く苦しい展開になって行く。多田野と小島、それぞれの切ない思いと、残酷だけど避けて通れない運命の選択が訪れる。そして、2人が最後に交わした会話の、あまりに深い絶望感・・・。お互いの立場を思えば、そうなってしまうのは仕方ないようですが・・・。とても辛く厳しい内容ですが、作品の魅力は、この終盤に集約されているように感じます。ストーリーに妙なリアルさを感じてしまうのは、私の気のせいなのかだろうか? ただの気のせいであって欲しいが・・・。
重い物語ではありますが、私の印象に深く刻まれた作品となっています。何故か定期的に読み返したくなるような魅力があるので、少しでも興味を持たれたら、ぜひ読んでみて下さい。
Kindle電子書籍版の紹介
「いつでも夢を」は電子書籍化されています。古本でも流通しているようですが、少し古い本なので、コンディションの良い本は入手困難かもしれません。
いつでも夢を(1) (ヤングサンデーコミックス) Kindle版
いつでも夢を(2) (ヤングサンデーコミックス) Kindle版
いつでも夢を(3) (ヤングサンデーコミックス) Kindle版
いつでも夢を(4) (ヤングサンデーコミックス) Kindle版
いつでも夢を(5) (ヤングサンデーコミックス) Kindle版
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